素朴な疑問が消えません。生命保険会社は何を売っているのだろうか。顧客の人生に寄り添いながら、病気など万が一に備えて金銭的な準備を整える。これが基本です。
強欲との闘い
もちろん、保険会社は収益を上げなければ、社員に給料を払えませんから、しっかり手数料などで稼ぐのは当たり前。でも、一生懸命に働いた成果は大きいほどうれしいものです。目の前のお金がどんどん積み上がれば、もっと欲しくなるのも人間の性なのでしょうか。いつのまにか本来の使命感を忘れ、法外な報酬に没頭しまうのでしょう。
果たして人間の強欲は制御できるのか。まるで宗教画に描かれている葛藤を演じているのがプルデンシャル生命保険です。営業社員による総額約39億円もの金銭詐取問題が発覚して以来、成果主義の弊害が問われる中、プルデンシャル生命は完全歩合の事実上の撤廃にかじを切りますが、会社の存在意義そのものが問われています。
月収30万円では物足りない
顧客の信頼を守るはずの社員が、あろうことか顧客から金銭をだまし取る行為は、保険の本質である「安心の提供」と真っ向から反するものです。
プルデンシャル生命は経営立て直しのため、月30万円程度の収入保証を導入し、不正の温床とされた過度な成果主義を弱める方針を固めました。完全歩合の事実上の撤廃は、営業のあり方を根本から変える試みです。これまでの営業力は、個人の成績に給与が大きく左右されるフルコミッション(完全歩合)制度に支えられていましたが、それが不正の大きな誘因となりました。
繰り返しになりますが、失われた巨額の金銭と顧客の信頼を取り戻すには、単なる給与体系の変更にとどまらず、「生命保険とは何か」という原点に立ち返った組織風土の刷新が不可欠です。
企業のDNAは変わらない
しかし、成果主義によって成長してきた組織風土は簡単に変わりません。人間同様、企業にもDNAがあります。月額30万円程度の収入が保証されたといえ、最優秀の営業員は億円を超え、数千万円の年収を得ていた社員が多くいた会社です。落差があまりにも大きすぎて組織の活力は維持できるのでしょうか。
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