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気候変動ランキング① CCPI 日本は59ケ国+EUのうち50位 政策の具体性と実現に低い評価

 「Climate Change Performance Index」(CCPI)と呼ばれる気候変動ランキングが発表されました。日本は50位。前回より5つダウン。この指標は気候変動に対する取り組みと成果について59ケ国と欧州連合(EU)の合計60を対象に評価し、ランキングしています。COP27開催に合わせて各国の気候変動に対する取り組み姿勢と政策を具体的なランキングで世界に提示し、パリ協定で確約した世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べて2度未満、努力目標として1・5度に抑える目標達成を求めるのが目的です。

CCPIは4分類で評価

  CCPIはドイツに事務局を置く「German Watch」「Climate Action Network International」「New Climate」の3組織が運営しており、2005年から発表しています。

CCPIの詳細は次のアドレスから参照ください。本文は英語です。

https://ccpi.org/

 ランキングの評価は「温暖化ガスの排出量」「再生可能エネルギー」「エネルギー効率」「気候変動政策」の4分類で、独自の計算式で数値化しています。全体評価は加重配分され、温暖化ガスが全体の40%を占め、再生可能エネルギー、エネルギー効率、気候変動政策の3点はいずれも20%。ちなみに評価対象が59ケ国+EUに設定しているのは、これらの国・地域だけで地球上に排出する温暖化ガスの90%以上を占めると試算しているからだそうです。

気候変動の成果を考える参考になれば

 地球温暖化や気候変動に関する調査は数多くあり、評価方法もさまざま。今回のCCPIもその一例に過ぎません。環境に関する調査を実施し、ランキングを作成・記事化した自分自身の経験からいっても、評価基準をどこに置き、評点の配分比率をどう設定するかで結果は大きく変わります。

 ただ、CCPIは2005年から知見を重ね、欧州でも注目される指標となっています。環境、気候変動の評価をどう考え、評点しているかを見ることで他の指標とも比較できるようになります。良い参考材料となりますので、日本に焦点を当ててCCPIを何回か分けて解析してみます。

日本は中国や米国よりも上位

 日本の順位は50位。ランキング方式は「非常に高い」「高い」「中位」「低い」「非常に低い」の5グループに分類されており、「非常に高い」にランク付けされる第1位から第3位までは該当する国がないということで空欄のまま。CCPIの理想を追求する姿勢がよくわかります。実質第1位に相当する4位はデンマークが前回に続いて選ばれ、日本はデンマークから数えると47番。47位も50位も、どちらにしても低いランキングです。ただ、総合評点ではデンマークに比べて日本は半分程度の評価。かなり差はあります。

 日本は5分類のうち「非常に低い」グループに属する13ケ国に含まれていますが、グループトップの位置にあります。日本以下は中国が51位、米国が52位と続き、その後もオーストラリア、台湾、カナダ、韓国などが同じグループに属しますから、国の経済規模が大きいと順位が低くなる傾向があるようです。このグループにはロシア、サウジアラビア、イランなど含まれ、米国、オーストラリア、カナダなど考慮すれば資源大国も「とても低い」に評価されています。

 日本は経済規模は米国、中国に次ぐ世界第3位。しかし、温暖化ガスを排出する化石燃料のほとんどを輸入に依存する資源小国です。このグループの中では頑張っているのか、頑張っていないのか。よくわかりません。

気候変動政策の具体性と実現性に疑問

 CCPIの日本に対する総合評価を見てみます。評価4分類のうち温暖化ガスと再生可能エネルギーの2点が「低い」。エネルギー使用では「中位」。 この3分類の評価は前回と同じですが、気候変動政策で「非常に低い」に落ちています。

 政策に対する評価の低さは具体性と実現性が欠けているからです。日本は2050年までにカーボン・ニュートラルの実現を目指しており、まず2030年までに温暖化ガスの排出量を46%削減すると公表しています。CCPI を評価する事務局は、目標達成に向けた具体的なプランが見当たらないと判断しています。欧州で進められている石炭火力発電の段階的廃止、炭素税、再生可能エネルギーなど明確な計画が打ち出されていないとみています。

国際的な脱炭素の動きにも消極的
CCPI で厳しく批判するのは、脱炭素に向けた国際的な動きに消極的であること。G7で進めようとしている脱炭素に向けた電力システムや物流体系への移行を阻止していると強調。日本国内の気候変動政策も低いと評価し、CCPI は政策を修正する必要があると指摘します。

 日本が脱炭素に向けた姿勢や実行について消極的であるのは指摘の通りです。他の国と比較してランキングが順当かどうかは別ですが、政策全般を厳しく批判され、ランキングを落とした主因であることは納得できます。

 次回は個別分類の評価をみてます。まず「温暖化ガスの排出」から。

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