Eco*Ten

「やれば、できる!」の声 気候変動ランキング② 温暖化ガス削減 日本は45位、本気度を疑問視

 気候変動ランキングを項目別にみてます。今回は温暖化ガス編。データの出所はCCPIからです。

日本は振り返れば、すぐ後ろが「非常に低い」

 日本の順位は45位。全体のランキングでは上位3位までは該当国が無いということで空欄でしたが、温暖化ガスは第1位だけが空欄で、2位がチリ、3位はスウェーデン。チリが実質1位というわけです。ランキングは「非常に高い」「高い「中位」「低い」「非常に低い」の5つのグループに分けられており、日本は4番目の「低い」グループに属しており、グループ再開の31位から46位までの16カ国中15番目の位置です。あと2つダウンすれば「非常に低い」に入る寸前ですね。

温暖化ガスの評点は4項目

 CCPIはランキングを作成するにあたって、どのように採点しているのか。その方法を温暖化ガス排出量の項目を例にみてみます。温暖化ガスはラインキング全体の評点のうち40%を占めており、「人口あたりの現在の排出量」「人口あたりの過去の傾向」「産業革命以降の気温上昇を2度未満とするパリ協定を実現するうえで、現在の到達度」「気温上昇2度未満の目標に向けた2030年まで削減目標の到達度」の4つの指標で評価します。4つの指標は全体の40%配分のうちいずれも10%ずつしてめています。

絶対値ではなく相対評価

 注目したいのは絶対値の変化で評価をしていない点です。先進国、発展途上国によって経済・産業に違いがあり、温暖化ガスや再生可能エネルギーなどの実情を同じ基準、絶対値で比較はできないと考えています。評価する基準は、過去と現在を比較してどの程度前進したのか、あるいは後退したのか、言い換えれば相対評価です。

努力を継続しないと、次回はダウン

 ある国が前回調査で好成績を収めていても、今回の調査で温暖化ガスの排出削減や再生可能エネルギーの導入などで遅れを生じたり、気候変動政策で足踏みをしていると全体の評価は下がり、ランキングも低下します。CCPIは、パリ協定が確約した「産業革命以降から気温上昇を2度未満に抑える」を実現するため、常に気候変動対策を戦力的に続けることを求め、評価するとしています。

日本は「現在の到達度」が非常に低い

 日本の場合は、「人口あたりの現在の排出量」は低い、「人口あたりの過去の傾向」は高い、「2度未満に向けた現在の到達度」は非常に低い、「2030年までの到達度」は低い、とそれぞれ評価されています。高いと評価された「過去の傾向」は妥当でしょう。

 ヤバイのは非常に低いと評価された「2度未満に向けた現在の到達度」。CCPIのランキング上、米国、中国、カナダなどが日本よりも下位にありますが、調査の基準は絶対値ではなく相対比較。日本の本気度を占えば、疑問を提示されているわけです。パリ協定が確約した2度未満を本気で到達するのかどうか、しっかりと具体的な計画を作成してほしいと指摘されています。「努力すれば、できるはず」と注目しているのです。

日本の本気度を疑問視

 こちらの指摘も肯けます。確かにカーボンニュートラルなど掛け声は大きいのですが、目標達成の道筋は明確ではありません。2020年12月に「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン戦略戦略」を公表されましたが、その後の議論は少なく、今は話題にもなりません。

 CCPIの日本に対する評価は、とにかく実践して欲しいということです。産業構造がどうしても自動車や重工業などCO2など温暖化ガスを排出する傾向にありますから、安請け合いはできないと考えがちですが、今回の評価の低さは頑張れとの応援だと思います。頑張りましょう。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


最近の記事
Eco*Ten
  1. エネルギー政策は誰のために 政府か国民か「東京に原発」で活発な論議を メキシコ続く大統領

  2. プラスチックの環境汚染防止に国際条約は不要!消費者自らが実践しましょう

  3. オーロラとなったCOP29 地球温暖化と巨額資金のはざまに揺れる光と影に 人間は眺めるだけ

  4. COP29 気候変動対策が資金争奪戦にすり替わる 討議は「コップの中の嵐」に

  5. 日本でも内部告発で企業、組織が変革する動きは加速するか 消費者庁が刑事罰を検討

  6. 100億匹のズワイガニが死滅 被害額は20兆円? 地球温暖化の衝撃は止まらない

  7. 衆院選挙、異常な猛暑や豪雨は票にならない!?気候変動対策が公約に盛り込まれない不思議

  8. 神宮外苑の再開発、多くの声を聞き「公共の空間」を問い、街を創る時

  9. イスラエルの博物館、展示品が壊されても保護せずに展示「個人を信頼し、尊重する」を貫く

  10. 個人情報の漏洩250万件 信用を捨てた損保にESGは手に負えない持続不可能な経営だった   

  1. 経産省が国交省を行政指導する日は近い?! 企業の人権侵害の手引き公表

  2. ダボス会議 悲喜劇の舞台に形骸化、そろそろ賞味期限切れが迫っている

  3. キーエンス Eco*Ten は10点満点の6・5点 環境は身の丈に合わせて努力

  4. 気候変動ランキング① CCPI 日本は59ケ国+EUのうち50位 政策の具体性と実現に低い評価

  5. 日揮 スシローなどとSAF生産、ESG・SDGsが背中を押した驚きの提携

  6. ESGと経営戦略①マクセル が全固体電池の先駆に エネルギーのスマホ化を加速

  7. スズキEco*Ten(上)伸び代はいっぱいですが、実行と成果はこれから

  8. JFE 高炉から電炉へ 脱炭素の覚悟 過去の栄光と葛藤の末に Eco*Ten 6・5点

  9. ディスコ Eco*Ten 10満点の8・0点 SDGsの総花的な贅肉を削ぎ、強い分野をより研磨する

  10. 政府、原発推進へ大転換 及び腰から本腰へ 本気度をEco*Ten 10点満点の3・5点

カテゴリー

明治神宮外苑から信濃町へ

TOP