Eco*Ten

オウンドメディアはESGを実践する企業戦略 トヨタイムズ編集長に注目

 トヨタ自動車は、銀座での不祥事が伝えられる俳優の香川照之さんが出演するトヨタのテレビCMを2022年末で終了するそうです。すでに出演するCMは放映されておらず、トヨタの姿勢は明確です。ところが香川さんが編集長を務めるトヨタのオウンドメディア「トヨタイムズ」の処遇については明言していません。トヨタイムズは新聞やテレビなどと一線を画すトヨタ独自のメディアとしてスタート。編集長の香川さんは「トヨタの真実を取材して追及していく」をテレビCMで連呼していました。ESG・SDGsでリーダーを自認するトヨタです。自らメディアの責務をどう果たすのか注目したいです。

トヨタイムズから「編集長の取材記」が消える

 9月4日現在、トヨタイムズは編集長の不祥事について伝えていません。目玉コンテンツの「香川編集長の取材記」は消えていますから、編集長としての責務はもう果たせないと考えているのでしょう。メディアなら一面の売り物企画を取り下げる時は通常、説明を掲載します。新着記事やキーワードのコラムを見ても、香川さんのワードはどこにも見当たらないので、読者に優先的に伝えるコンテンツとは考えていないのでしょう。

 オウンドメディアは企業自らが情報発信するメディアとしてネットを中心に広がっています。新聞やテレビ、雑誌などよりも、SNSを通じて情報が拡散するのが当たり前になっています。新聞やテレビはマスゴミと呼ばれ、ネットで広がっている情報が貴重に扱われる時代です。消費者やユーザーとより身近に情報をやり取りしたいと考えたら、オウンドメディアは重要な選択肢です。

オウンドメディアは信頼される情報源に

 トヨタイムズは日本を代表するトヨタ自動車が運営するオウンドメディアです。豊田章男社長は新聞やテレビは真実を伝えていないと考え、社長の肝いりでスタートしていますから力の入り方は他を圧倒します。香川編集長が「トヨタの真実を取材して追求していく」と連呼するCMが数多く流れたのも、頷けるはずです。

 だからこそ今回の香川編集長の不祥事についてどう対応するのかを注目したいのです。オウンドメディアは単なるCMではないはずです。製品や企業経営に対する信頼感を醸成する有効な手段として定着し、地球温暖化や新たな課題を抱える社会に対し、企業がどう対応するかを求めるESGやSDGsの流れにぴたりとはまります。

ESGやSDGsに対する企業の考えを知るきっかけにも

 もし、自らの都合に合わせて情報を操作してしまったら、今後発信する情報に対する信頼感は薄れてしまいます。せっかくここまで広まり、日常生活の情報源として利用されてきたいのにもったいない。

 トヨタの豊田章男社長は日本の経済界を今後も引っ張るリーダーの1人です。ESGやSDGsに関する活動でもパラリンピックやスペシャルオリンピックスなど障がい者のスポーツ大会に積極的に支援、経済界の先頭を切っています。トヨタイムズはあれだけのパワーと人材をそろえたメディアです。原点を一度確認して、トヨタイムズをより素晴らしいオウンドメディアに育て上げてほしいです。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


最近の記事
Eco*Ten
  1. 小林製薬とビッグモーター 不正の図式が同じに見える

  2. 地球温暖化はワイン産地を北へ、北へ 北海道のピノがうまい

  3. ニュージーランド 世界初の牛のげっぷ税を撤回 試行錯誤がエコを進化

  4. 三菱UFJ銀 顧客情報を違法に共有 窓口は厳守でも経営の本音は収益重視

  5. 最近、聞かないESG、SDGs もう当たり前?あるいは賞味期限切れ!? 

  6. 景観で国立市のマンションが解体するなら、明治神宮外苑も・・と誰もが

  7. 国のジェネリック普及 効能は先発薬と同じでも、供給力と信頼はまだ後発のまま

  8. パリ・シャンゼリゼは緑増やし、人が回帰する街に 神宮外苑前は緑の回廊から高層ビルの街へ

  9. 環境省 霞ヶ関の病に侵され、水俣の声が聞こえず Eco*Ten 零点 

  10. Wework、ビッグモーター、WECARS さて問題です、グッドカンパニーはどれ?

  1. ディスコ Eco*Ten 10満点の8・0点 SDGsの総花的な贅肉を削ぎ、強い分野をより研磨する

  2. キーエンス Eco*Ten は10点満点の6・5点 環境は身の丈に合わせて努力

  3. 経産省が国交省を行政指導する日は近い?! 企業の人権侵害の手引き公表

  4. JFE 高炉から電炉へ 脱炭素の覚悟 過去の栄光と葛藤の末に Eco*Ten 6・5点

  5. 日揮 スシローなどとSAF生産、ESG・SDGsが背中を押した驚きの提携

  6. 政府、原発推進へ大転換 及び腰から本腰へ 本気度をEco*Ten 10点満点の3・5点

  7. ESGと経営戦略①マクセル が全固体電池の先駆に エネルギーのスマホ化を加速

  8. スズキEco*Ten(上)伸び代はいっぱいですが、実行と成果はこれから

  9. Eco*ユニコーン創生 株式上場益の2倍相当を無利子で10年融資、脱炭素のブレイクスルーへ

  10. 気候変動ランキング① CCPI 日本は59ケ国+EUのうち50位 政策の具体性と実現に低い評価

月別のアーカイブはこちら

カテゴリー

明治神宮外苑から信濃町へ

TOP