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G7環境相会議を考える②地球温暖化の息遣いを伝える先住民とどう向き合う

 第2回は「先住民」。4月に札幌市で開催したG7の気候・エネルギー環境大臣会合で発表したコミュニケで「先住民」は議論され、採択されましたが、多くのメディアはCO2などの脱炭素、天然ガスの段階的な廃止に注目し、残念ながら先住民の問題はあまり触れられていません。世界の関心を考えれば致し方がないと納得しますが、命の大事さを住んでいる国や場所、歴史などで天秤の重さを測るようにして判断するものではありません。先住民は地球の環境と共生しながら、何千年の歴史を綴ってきました。地球の息遣いを常に感じています。先住民問題を見逃すことは、地球の息遣いを無視することなのです。

日本も先住民問題としっかり向かう時期

 とりわけ連載企画第2回目であえて取り上げるのも、日本はアイヌなど先住民問題にしっかりと向かう時期、そして本気度が問われているからです。

 まずG7の大臣会合ではコミュニケの第20項目目に以下の文章が採択しています。原文は英語で、日本語訳は環境省の公表文を引用しましました。

先住民族:「先住民族の権利に関する国連宣言」で示された先住民族の権利と先住民族の独自の知識と経験を尊重し、我々は、気候変動、クリーンエネルギーへの移行、生物多様性の損失、汚染、自然保護及びその他の環境問題への取組において、先住民族のリーダーシップと関与の重要性を強調する。

 第20項目の一つ前の第19項目で「inclusion」、日本語訳で「包み込む」といった意味に近いと思います。この連載第1回で全文を掲載していますが、先住民の問題を語るうえで重なるので再掲します。

包摂:我々は、ネット・ゼロで、循環型で、ネイチャー・ポジティブな経済への移行には、労働者や地域社会を含む社会のすべての構成員が関与することを認識し、この移行が誰一人取り残さない、 公正かつ包摂的であることを確保するという我々のコミットメントを確認する。我々は、企業や産 業、労働者や労働組合、若者やこども、障害者、女性や女児、先住民族、人種的・民族的マイノリ ティ及び疎外された人々を含む社会のすべての人々が、変革を促進する上で果たす役割の重要性を 強調する。また、我々は、2030 アジェンダとその SDGs に沿った環境正義と社会的・経済的持続可 能性を達成するためには、市民の強固な関与及び参加が不可欠であることに留意する。したがって、 我々は、社会のすべてのセグメントと緊密に協力し、意思決定や指導的役割への積極的な関与、協 議、リーダーシップ、意味のある参加を支援することにコミットする。我々は、「クリーンで健康的 で持続可能な環境の享受に係る人権」に関する国連総会決議 76/300 を想起する。

 注目したいのは「若者やこども、障害者、女性や女児、先住民族、人種的・民族的マイノリ ティ及び疎外された人々を含む社会のすべての人々が、変革を促進する上で果たす役割の重要性を 強調する。」のくだりです。社会的に阻害される立場に追い込まれる先住民ら少数派は自然環境を破壊する資源開発などで抗う力は弱いのは事実。世界の政治経済をリードするG7がまずは先住民ら少数派の現況を踏まえ、第19項目で強調した包摂の考えを念頭に先駆的な取り組みを実践することを宣言したと理解しています。

パプアでは日本の森林伐採の停止を求める抗議

 1990年代半ば、ある国際会議の取材でパプア・ニューギニアを訪れた時です。会議場で出迎えたのは、日本企業による森林伐採の停止を求める抗議デモと横断幕でした。日本の商社などは、同国の森林を日本で紙などを生産する丸太として切り出し、輸出していました。日本国内の森林ではコスト面で合わず、世界中から木材資源をかき集めている時期です。会議に出席した政府関係者は、正直戸惑っていました。「資源に依存しているパプア・ニューギニア経済に貢献しているのに、なぜ抗議を受けなければいけなのか」。

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