ESG・SDGsと企業経営

ヨシムラ・フード、製麺会社を買収、再生と継承が問われる経営のESG  中小企業の買収は続く  

 ヨシムラ・フード・ホールディングスが2022年11月4日、丸太太兵衛小林製麺(札幌市)の発行済株式100%を譲り受けると発表しました。ヨシムラ・フードは食品産業の中小企業を中心に経営指導や事業継承を手掛け、企業買収も積極的です。中小企業の事業継承は深刻さを増しており、サスティナビリティ・統治 を掲げるESGのテーマとして取り上げる動きが広がっています。ESGは環境問題が大きく注目を浴びがちですが、企業買収などを通じて中小企業のESGをどう考えるのかがより重要になってきました。

ヨシムラ・フードが札幌の製麺会社を買収

 企業を売却する丸太太兵衛小林製麺は北海道札幌市に本社と工場を置き、社名が示す通りラーメン用麺の製造・販売が主な事業です。発表資料によると、人気ラーメン店から発注を受けるなど製品の評価は高く、米国でも事業を広げています。売上高は2020年3月期で売上高が10億円近く、営業利益は2億円近くに達していましたが、コロナ禍の影響もあってこの2年間は減少しています。

 買収するヨシムラ・フードは創業者の吉村元久氏が証券会社や米国留学などを通じて得た経験をもとに食品関連の中小企業を支援する目的で2008年に設立しています。日本の食品産業の高い技術と品質に注目する一方、「少子高齢化による後継者不在や市場の縮小などにより、それらが失われつつある」(同社のホームページより)との認識に立って、日本各地の中堅・中小の食品メーカーを相次いで買収しています。

「地蔵可能な社会づくりに貢献」

 ホームページでは「この取り組みは正にESG経営であり、推進することで当社の持続的な成長を実現するとともに、持続可能な社会づくりへと貢献してまいります」と説明します。

 中小企業は疲弊が目立つ日本経済を支える大黒柱です。大企業の陰に隠れて目立ちませんが、自動車、機械、食品も含めた製造技術や開発能力はまだまだ世界でも頭抜けています。しかし、中小企業を取り巻く経営環境は決して明るくありません。事業の将来性に加え、後継者不足を引き金に経営を維持する意欲を失う経営者が増えています。

中小企業の買収件数は高水準

 企業買収などを調査するレコフデータによると、買収件数は2019年には4,000件を超え、過去最高を記録しているそうです。2020年以降はコロナ禍の影響で厳しい業績に追い込まれていることもあって、買収を手控えているとはいえ、3000件を超えているそうです。

 ヨシムラ・フードによる北海道の製麺会社の買収は、コロナ禍の後の業績回復を見込んで買収に踏み切ったとみています。この2年間で苦境に追い込まれた中堅・中小企業は多いだけに、後継者不足などに伴う事業継承問題も手伝って企業の売却・買収の動きは活発するでしょう。

ESGの観点から改めて政策支援を

 ESGは環境、継続性、統治のキーワードから生まれた言葉です。企業経営だけに焦点を合わせているわけではありませんが、日本経済の行方を見通すうえで、中小企業の事業継続性、経営統治の現状をどう捉え、国や自治体の政策支援を抜本的に見直す時期が訪れています。企業買収を仲介する企業がとても忙しく、業績も良いそうです。企業の自主判断を重視する経済合理性に従う淘汰と再生は大歓迎ですが、地域経済に根ざした中小企業をどう再生するのかESGの観点から議論するのも大事な時期になってきました。

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