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実行力を問われるCOP28 理想を手にできるのか、それとも画に描いた餅に

 「あれ、大丈夫なの?」。そんな素朴な疑問が浮かんだものです。2023年11月30日、国連の気候変動会議COP28はアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開幕しました。石油、ガスの化石燃料を産出する中東諸国の本拠地で地球温暖化、気候変動を防止する国連の国際会議でどんな議論が展開されるのか。世界の石油・ガスを握る中東諸国がCOP28にどう対面するのか楽しみでした。案の定、不可解な出来事がありました。

UAEが前日に石油などの商談を開催

 COP28の議長国であるUAEが開幕する前日に15カ国と石油・ガスの取引について協議する予定であることが明らかになったのです。COP28との連携、位置付けがよく理解できませんが、石油・ガスの輸出国であるUAEから見たら、せっかく大消費する国々が多く参加するのだから、商談会を開くのは当然と考えたのでしょうか。ちなみに中国の「シャドーバンク(影の銀行)」も討議されたそうです。スイスのダボスで毎年開催される世界経済フォーラムも商談を念頭に置いたミーティングが数多く開かれるそうですから、気候変動会議COP28もビジネストークする同じ位置付けになったのかもしれません。

 国連のグテーレス事務局長は2023年7月、地球は温暖化ではなく、沸騰化していると警告しました。各国政府などにより強力な対策を至急取るよう促す意図は明白ですが、UAEの国際イベントとして捉える冷めたスタンスを見るまでもなく欧米も含め世界各国の本気度はどの程度なのか疑問です。

COPは現実?に合わせ儀式になるのか

 COP28は約200カ国・地域が参加しており、7万人が参加します。会議は毎年1回開催され、京都議定書、パリ協定など地球温暖化の防止に向けて着実に歩を進めていますが、最近は先進国と途上国の思惑が衝突し、何かしらの警鐘を鳴らすものの、立ち往生している印象があります。7万人という参加規模などを考慮すれば、討議を積み重ねたとしても大きなイベントに膨れ上がりすぎており、詳細な議論ができるのか。議論の応酬に終始し、地球温暖化に向けた歩みは足踏みするのではないかと心配です。

 今回の気候変動会議のポイントは、「グローバル・ストックテイク」にあると言われています。ストックテイクは在庫調査、棚卸しという意味ですから、世界的な地球温暖化対策がその目標通り実践され、効果を上げているかを検証するものです。その目標とは、COP21で採択されたパリ協定で掲げられた「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度以内に抑え、努力目標として1・5度を追求する」で、進捗度合いを5年に1度評価することにしており、今回のCOP28で初めて評価されます。

 目標が未達でも罰則はないのですが、未達の国が多ければ今後の頑張り度合い、本気度にも影響します。「理想は理想、現実は現実」と割り切る国が増えるでしょう。太陽光や風力など再生可能エネルギーを拡大しながらも、補完的な役割とはいえ石油、ガス、石炭の火力発電に頼らざるを得ない国々は多いのも事実です。日本のようにCO2を出さない原子力発電を脱炭素の主軸に置いても、再稼働や新増設がままらなず結局は化石燃料に頼らざるをない国もあります。

EV政策は後退

 脱炭素の切り札の一つである電気自動車(EV)が好例です。欧州連合(EU)は2035年までに新車販売を全てEVに切り替えると宣言、欧米の自動車メーカーも一斉にEVシフトを加速しました。しかし、VW、ベンツ、BMWなど世界の有力自動車メーカーを抱え、自国経済の柱とするドイツは、EV全面転換に消極的な姿勢を強めた結果、EUはCO2を排出しない合成燃料を使ったエンジン車を認める軌道修正を迫られました。

 COP28の議長国であるUAEが世界最大の産油地域である中東の利害を無視して、会議の方向を進めるとは思えません。理想は理想と掲げながらも、化石燃料の利用に抜け穴を設けるアイデアを舞台裏で根回しする可能性は十分にあります。注目ポイントであるグローバル・ストックテイクもさほど効果が上げられていないと結論付けた場合、ロシアのウクライナ侵攻やイスラエルのガザ地区侵攻で露呈している国連の影響力低下がさらに衰えるでしょう。

 今回のCOP28は、京都議定書、パリ協定を過去の遺物に落とし込むのか、今後も世界を主導できる気候変動会議としてなんとか持ち堪えるのか。分水嶺となる会議と考えています。

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