Eco*Ten

Eco*Ten を商標登録 だれもがわかる環境経営の指標をめざします

 Eco*Tenを商標登録しました。特許庁から2023年3月27日に登録されましたとの証明書をいただきました。

3月に登録証

 Eco*Tenは1年前の2022年春にサイトを立ち上げた際、メインタイトルとして設定しました。環境のecology、経済のeconomyで使われる「eco」は、日本語としても「エコ」と呼ばれ、環境問題を考える象徴的な文字として使われています。東京商工会議所が環境に関する検定試験の名称に「eco検定」を利用している一例からわかると思います。

 Tenは英語と日本語の意味を重ねました。one、twoと数え上げる英語はtenで一区切りがつきます。発音は「テン」。日本語では同じ響きで点数の「点」が思い浮かびます。

環境と経済のEcoを*で掛け合わせる

 アイデアが浮かびました。ecoとtenを掛け合わせれば、環境をキーワードにさまざまなものを数値で評点する一つの言葉ができあがる。掛け合わせる意味は「*」の文字に担ってもらい、Eco*Tenという言葉を創案しました。

 このサイトを立ち上げる狙いは、「環境経営度をわかりやすい指標で説明できないか」。

環境経営を簡素な指標で表せないか

 なぜ、こんな思いを抱いたのか。ここから先の説明は長いです。どうぞお付き合いください。きっかけは新聞社の編集局で記者からデスクへ転じて数年後、環境担当の記事をまとめる役割を負うことになったからです。1990年代の半ばです。

 日本の環境問題は遡れば切りがありませんが、明治以降の富国強兵を追い風に足尾銅山に代表される鉱山開発で周囲の山地、河川などを汚染し、住民の健康などに大きな影響を与えました。第二次大戦後は、熊本県の水俣、富山県の神通川流域などの汚染、三重県四日市の大気汚染などが深刻な健康被害を引き起こしました。1970年代には自動車の排ガス汚染も加わり、日本は欧米に追いつけ追い抜けと経済発展に努力しますが、経済成長と共に公害問題も欧米の背中を追うように被害が拡大していきます。

1980年代は氷河期説も

 1980年代からは地球温暖化問題が加わります。産業革命後のCO2排出の拡大、冷蔵庫などで利用されるフロンガスなど温暖化を招くガスが急増し、地球の平均温度の上昇や皮膚がんなど健康被害の増大を予測するとの指摘が現れました。

 しかし、今では信じられないでしょうが、当時は地球温暖化よりも地球の気温が低下する氷河期の到来の可能性の方が大きいという研究成果もあり、地球温暖化に対する研究への疑問符は消えませんでした。日本の電力業界も、温暖化説よりも氷河説を強調し、「CO2が急増すればCO2を吸収して成長する植物の巨大化が始まり、CO2の増加と吸収が差し引きされる」と真顔で説明する研究者を取材したこともあります。

1990年代は廃棄物、リサイクル

 ですから、1990年代の環境問題は温暖化よりも産業廃棄物の抑制、リサイクルなどが主眼となりました。自動車の排ガス抑制はハイブリッド車の登場が示す通り、消費者の大きな関心事でしたが、日本の場合はリサイクルやリユース、リデュースの3Rがメインです。今も3Rはキーワードとして使われ、常套句となっていますが、この3Rが日本の環境問題の足かせになっていると考えています。リサイクル、リユース、リデュースの中身よりも、この3Rを実践していれば環境問題に取り組んでいるのだという勘違いを招いたからです。

編集デスクとして「わかりやすい環境経営」を

 ようやく編集デスクの時にたどり着きます。1990年代に環境担当デスクとして取り組んだのは、わかりやすい事例と数字で環境問題を実感してもらうこと。経済を主に編集する新聞社にいましたので、数字をたくさん使えば訳がわからないと記事すら読んでくれません。企業経営を環境というキーワードでどう感じてもらい、いかに変革しているのかを知ってほしい。これをテーマに設定しました。

 「環境経営」と名付け、進捗度を「環境経営度」と命名しました。東証に上場する企業すべてにアンケード調査を配布し、その回答を分析し、ランキングにします。世界のシンクタンクも試行錯誤している時期ですから、調査分析として完成品ではありません。乱暴な視点もあったかもしれません。

 しかし、環境経営度に対する読者の反響は凄まじく大きいため、回答する企業も真剣に対応してくれます。こちらも企業の担当者から寄せられる疑問や不満は、かならず受ける構えでした。

 実際、ある財閥グループの40、50社のみなさんから勉強会を開こうという提案をいただき、数時間に渡って白熱の議論を交わしました。1度や2度ではありません。

無理は承知、でも日本、世界に寄与できるかも

 それは日本企業の環境経営度は世界の先駆となれば、日本経済が結果として安定した成長を続けられ、さらに日本を追うように続く発展途上国の経済、企業、国民すべてに恩恵になるはずと考えていたからです。

 地球温暖化、気候変動が環境問題の主題になったのは、やはり2007年からでしょう。同年のノーベル平和賞で気候変動を研究するIPCC、米国副大統領を経験したアル・ゴア氏が受賞したのが引き金です。それまでは世界的な気候研究者からもIPCCの研究成果に疑問を呈する意見や論文が出ていましたが、地球温暖化そのものに対する疑問は消えました。

会計事務所は精緻な指標、専門家しか理解できず

 気候変動の主因である温暖化ガスの大半が企業が排出します。企業活動の結果、収益が上がり、従業員の給与も増えれば経済全体に恩恵が広がりますが、気候変動などの影響が地球、社会全体により大きい悪影響を与えるなら、企業活動のあり方を考え直す必要があります。

 企業経営が気候変動対策を機ににどう変革に取り組んでいるか。欧米を中心に消費者や株主は厳しい目で見るようになってきます。株主総会などの質疑応答でも当たり前に登場するようになったこともあって、大手会計事務所などは環境経営度を精緻に計算して、前進しているか足踏みしているかを調査、報告するのが大きな流れとなりました。失礼ですが、新たな収益源の誕生です。

 ネットで調べればすぐにわかりますが、数え切れないほどあります。いずれも精緻に出来上がっているだけに、専門知識がなければ理解が難しいリポートもあります。しかも、環境に対する取り組みが企業が調達する資金や発行する社債の利率などにも影響するため、ESG債などが人気を集め、機関投資家もESGやSDGsなどの冠がつけば投資先として決めやすい潮流が広がります。精緻な指標ほど「本当らしさ」が演出できるので、素人には複雑怪奇にしか映りません。

 環境、ESG、SDGsは誰も賛成するキーワードとなっているにもかかわらず、その実相が正確にはわかりにくい。これが現状ではないでしょうか。

わずかな一歩ですが、前へ

 Eco*Tenは誠にささやかな抵抗でするが、わかりやすい環境経営度を再構築する小さな小さな一歩です。わざわざ商標登録したのは、ネット上でEco*Tenとして独自性を担保しながら、多くの人が体感できる環境経営度を探る土台を地道に整えたいという思いを込めたからです。まだまだ全く未熟なレベルです。申し訳ありません。

 「なるほどね、これならわかる」。この感覚を忘れずにEco*Tenをこれから続けていきます。

 よろしくお願いします。

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