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環境経営度by AI ⑤ スバル、マツダは環境と並走するも「強いブランド」を最優先

 環境経営といえば、CO2の排出削減やリサイクルなど経営資源の消費を抑える「守りの姿勢」ばかりが注目されがちです。でも、それは誤解です。一見、本来はもっと消費したいにもかかわらず、我慢する姿勢と思われがちですが、無駄を排しながらこれだけは譲れない、言い換えれば最優先したい自らの「強さ」を生み出す源泉が浮き彫りになります。CO2の排出削減が喫緊課題となっている自動車産業を例に見れば、わかります。それをスバル、マツダが体現しています。

スバルは7位、マツダは8位

 前回の記事でも採用した「排出強度」の視点から解析してみました。売上高当たりの排出量を参考に人工知能がCO2の排出量を抑制しているかどうかを数値化し、ランキングにしました。排出の効率を重視するランキングで採点すると、ダイハツ工業やスズキ、ホンダが上位3社に並びます。

 スバルとマツダは、第4位のトヨタ自動車、第5位の三菱自動車、第6位の日産自動車に続き、スバルは第7位、マツダは第8位と最下位グループとなりました。

 上位と下位の差異は明快です。ダイハツ、スズキ、ホンダは軽自動車や二輪車を生産しているメーカーは低コストを徹底するため、工場などの操業度を高効率化に努めます。スバルやマツダも軽自動車を販売していますが、スバルはダイハツから、マツダはスズキからそれぞれOEM(相手先ブランドによる生産・供給)を利用しており、自社の開発、生産はブランド・アイデンティティを貫く戦略を最優先しています。

スバルは4WD、マツダは究極のエンジン

 スバルもマツダも自動車販売の総合百貨店ともいえるトヨタと違い、車づくりの個性が命。スバルは4WD(四輪駆動)と水平対向エンジン。マツダはローターリーエンジンこそ一時的に諦めていますが、エンジンの進化に注力し続けています。ともにエンジンの燃焼技術の極みを追求する一方、世界のライバルが真似できない技術力と個性を訴えるブランドとアイデンティティがあります。

 効率の追求を第一に進めていれば、トヨタなど世界の大手に埋もれてしまいます。スバルの場合、世界でも高い評価を集める4WDを活かすためにも車体剛性は強く設定し、荒れた路面でも平気に突っ走る駆動力を実現しようとすると、どうしても乗用車よりもSUVモデルが主体になります。大きくてごついボディに強健な足腰を持つ車を開発、生産するとなると、エネルギー消費は高めになってしまいます。

 排出強度で比較してみます。スバルは2・8〜3・2。第1位のダイハツは1・2〜1・5ですから、2倍以上も排出効率が悪いことがわかります。トヨタは2・0〜2・4。売上高、車種の多さなどを考慮すれば、トヨタがいかにCO2抑制に努力していることがわかります。

 マツダは3・0〜3・5。スバルよりさらに成績が下がります。マツダは良くも悪くも「カーガイ」の自動車メーカー。つまり自動車が好きで好きでたまらない人間が集まっている会社です。

 ロータリーエンジンの開発歴史が物語るように理想とする技術、自動車を開発、生産することに夢中になります。業績が赤字に転落しても、へこたれません。これを経営戦略と呼んで良いのかどうか躊躇しますが、これがマツダらしい魅力ですから。失ってしまったら、マツダじゃなくなるのです。

 スバルもマツダも自動車メーカーが地球環境と並走しなければいけないことは百も承知しています。ただ、企業は存続することも大事です。それはトヨタなど世界の大手と差別化することであり、メーカーとしてどんな車づくりを堅持するかが問われます。それがブランドの力となり、お客が選ぶ決め手になります。

環境経営は企業の個性も浮き彫り

 環境経営を示す排出強度が悪い数値を示しているからといって、環境経営の質が低いわけではありません。例えばマツダはCO2排出量を相殺する微生物を利用した燃料開発に挑んでいます。植物由来の燃料素材を転用できれば、CO2の吸収と排出を相殺して事実上ゼロとなるカーボンニュートラルの実現をめざしています。

 環境経営を解析することは、企業経営の個性を改めて浮き彫りにするとともに、企業それぞれが試行錯誤する姿も描き出します。

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